最近、人生が救われたなぁと思った瞬間があったので残しておきたい。
人生うまくいかないなぁと落ち込んでいる期間であった。
自分のもろもろの不足を痛感し、理想と現実の落差が激しくて、八方塞がりの気がしていた。
そうは言っても、しなければならないことがある。そう、子の送り迎えである。
お迎えは定時。例え親は定時退社が叶わなくとも、子は残業なし。最優先の顧客であり、マイスイート我がまま上司なのである。
ヘアピンカーブからの転倒
何とか今日も2人を自転車に乗せ、えっちらおっちら帰り道を進む。
途中にヘアピンカーブがある。
小さな側道から、全6車線の幹線道路の歩道に上がる、その手前だ。
一度、側道と幹線道路の小さな交差点の脇を180度回転する必要があるのだが、ここが下り坂なのだ。
ブレーキ使いながらゆっくり回ってーーー
あ、と思った時にはズルッと滑った後だった。
少し大回りになり、歩道への段差と自転車が並行に。
ママチャリに乗る人なら想像つくであろうが、段差とタイヤが並行になると、擦れてバランスを崩して転倒するのである。
そのまま横滑りして、体勢を傾けた電動チャリ。
足はついたものの、前後自分含めて、100キロ近くは支えられる訳もない。
とりあえず倒れるしかないので、ゆっくり倒れたのだった。
また取り乱せない人生だった
幸い、交差点に入っているのはタイヤのみで、チャリ本体は歩道の中だった。
歩道に自転車を引きずり上げようとしたが、私と後部座席の間に照明の支柱があり、一度チャリの位置を大きく横に動かさないと、歩道に持ってこられない。
信号が変わったら、車が動き出すかもしれない。
しかし、こういう時にいつも冷静に振る舞おうとする自分がいるのだった。
後から思うのである。
助けてください!と言わなければならない場面なのに、ヘラヘラしてしまったり、大丈夫ですと言ってしまったり。
せめて感情的に取り乱せたらと思うが、叶わない。
思考停止ーーー
大丈夫ー?!
「大丈夫ー!?」
声の方向を見るとーーー
パープルのワゴンだった。
ラメっぽいド紫のでっかい車の運転席から、いかつい茶髪の男性が窓枠に手をかけてこっちに声をかけてくれている。
ーーーなんか、ヤンキーのお方が…?
あうあう、と言葉にならない私。
それを見て、デコトラの魂をワゴンに注入したような派手な車が、交差点を右折して側道にキュッと止まったのだった。
そして、次の瞬間には、男性とさらにお弟子のようなガタイの良い男性がしゃがむ私の横に立っていた。
そして、このまま起こしちゃっていい?と優しく尋ねると、2人がかりで自転車を子ども乗せたまま起こしてくださった。
前かごのビービー泣いている下の子に声をかけて、引き返していった。そして、パープルデコワゴンはUターンして、颯爽と去っていった。
助けてもらえるのだ
その後、帰宅途中に自転車屋に寄ったところ、ブレーキの摩耗が激しく、特に前輪はほぼきいていないことが判明した。
よく考えると、最近オーバーランのヒヤリハットを繰り返していたのだが、梅雨時だったのでてっきり雨のせいかと思っていたのだ。
まさかブレーキが原因とは。
帰ってきてホッとすると、涙が込み上げてきてしまった。同時に、助けてもらったのだと思った。
それは、子どもを守ってもらったこともそうだけど、自分の人生を丸ごとだ。
うまく説明できないが、困ってたら助けてもらえると、うまく助けを求められてなくても手を差し伸べてもらえると実感したのだ。
この世に純然たる善意をーーうまくヘルプを出せなくてもーー自分へ向けてもらえるとは思いもしなかったのだ。
知らない人でも助けてくれるなら、私を知っている人なら尚更だろう。
紫のデコワゴンは、私の世界を少し優しくして、多分次の現場へ向けて去っていった。

