大親友だったクリエイター3人が、どうして袂を分かつことになったのか?を逆再生していくミュージカル「メリリー・ウィ・ロール・アロング」。
壊れた友情に想いを馳せる作品かと思いきや、何回か見て発見もあったので感想を残しておきたい。
なんとかして見られないものか・・・!と切望していたブロードウェイの録画版が、カルチャヴィル(ナショナルシアターライブ配給元)の手により、字幕付きで映画館にて上映!
公開初日初回と、さらにおかわりして見てきた。
音楽的な喜びに満ちている
入りのジャズのようなリズミカルな序曲に始まり、登場人物たちの感情や立場は歌で表現されていた。
歌うまキャストが奏でるストーリーにずっと耳が幸せだった。
特に、1幕最後の曲は鼻血。夢中になって聴き終えて、その後萌えもだえる時間差鼻血(え。
スイング感たっぷりに始まり、最後は群衆とオーケストラと言わんばかりの合唱が重なってきて幕を閉じる。
まぁ、ミュージカルにおいて1幕最後の曲が一番盛り上がるので、どの演目でも1幕最後の曲が好きなんですけれども。
でもとにかく、聞いたことが無い感じ。複雑で気持ちよくて、新鮮、これがソンドハイム・・・。
本映像と同じマリア・フリードマン演出版の日本公演(ホリプロ主催)を新国立劇場で拝見した時も、1幕最後の曲にびっくりして、一気に引き込まれたのを思い出した。
主旋律を歌うのは友人のメアリー役リンゼイ・メンデス、主人公が歌わなくて意外だし、何より難曲!!
サクスフォンみたいに歌わされるヒロインよ!!
あの曲を聞けただけでも、行く意味があったと思う。
透き通るような友情のメリリー
ブロードウェイ版はフランクリン役が、ジョナサン・グロフ。
涙がしゅごい。メアリーに去られては泣き、チャーリーを失っては絶望し、とにかく涙を流すピュアピュア主人公。
リンゼイ・メンデスはもちろん、ダニエル・ラドクリフも神経質で芸術肌だけど友情を尊ぶチャーリーを怪演(このお方本当にお上手なんだな!とびっくりした)、なんか本当にこの3人は仲良いのだなとしみじみする。
ホリプロの日本版は?
ホリプロ版は平方元基が演じており、背も高く歌も上手だけど、情緒あふれるかというと硬質なフランクだったので、はい(お察し。
笹本玲奈のメアリーはどちらかというとキュート寄り、ウエンツのチャーリーはどちらかというと3枚目、ということで3人の見え方も大分違った。
ブロードウェイ版のチャーリーは親友2人の喪失を心から悲しんでいるし、だからこその人たらし感というか、人生流され感というか。
人間味溢れるからこそ、ラストシーンの「Our Time」も希望に満ち満ちていて、白けない感じだった。
ホリプロ版はもっと地に足ついた感じの「Our Time」だったので。ブロードウェイ版は流星とか流れちゃうキラキラエンドだった。
いい人で溢れるメリリー
あと、ガッシー役のクリスタル・ジョイ・ブラウン、お声が上品で、なんて知的なんでしょう。
あまりに洗練されていて、これまた憎めないガッシー。ジョー役のレグ・ロジャースもどこか人情味溢れるプロデューサーで、この2人も全く憎めない感じに仕上がっていた。
主演3人もちいかわみのある仲良し3人組だし、他メンバーも皆夢のために頑張っているし、いい人しかいない世界線なの!?
私はどろっとした人間関係が好きなので、ブロードウェイのシニカルバージョンのメリリーも見てみたいような。
ハッピーエンドだった!そうなの!?
2回目に見て、冒頭のシーンは、パーティーのあとフランクリンが1人になっているシーンだし、最終シーンの最後の数秒で同じメロディーが流れるのでループしていることが示唆されていることに気がついた。
そしてさ、ラストシーンでカメラで抜かれたフランクが微笑むのだよね。
え、これ3人の絆を取り戻すやつじゃん!?とびっくりした。
初見では友情壊れたのにハッピーエンド風なのが面白いと思っていた。しかし、今回の映像のラスト数秒で、希望のある現在へつながることが明確な演出意図であることに気がついた。
バッドエンドのミュージカルかと思ったけど、すごく希望のある終わり方をしていた。
ここに一番驚いた。
でも最近心が弱っているので、これくらい優しい味付けの作品に癒されている。
ボンカレー甘口みたいな人生を歩んでいきたいよ。
タイトル: メリリー・ウィー・ロール・アロング
公開日: 6/26(金)
公開表記:6/26(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか公開
演出 マリア・フリードマン
脚本 ジョージ・ファース
原作戯曲:ジョージ・S・カウフマン、モス・ハート
作曲 スティーヴン・ソンドハイム
撮影 サム・レヴィ(『レディ・バード』『フランシス・ハ』)
編集 スペンサー・アヴェリック(『グローリー/明日への行進』)
装置・衣裳 スートラ・ギルモア(NTLive『シラノ・ド・ベルジュラック』)
出演
ダニエル・ラドクリフ/ チャーリー・クリンガス役
ジョナサン・グロフ / フランクリン・シェパード役
リンゼイ・メンデス / メアリー・フリン役
クリスタル・ジョイ・ブラウン / ガッシー・カーネギー役
ケイティ・ローズ・クラーク / ベス・シェパード役
レグ・ロジャース/ ジョー・ジョセフソン役
上映時間: 2時間25分
撮影時期・場所:2024年6月 NYハドソン劇場
日本語字幕:チオキ真理
字幕監修:常田景子


