絶対好きだし刺さる作品なのでどこかで見なければと思っていたけど、ついについに観ましたぞ!
見たのはNational Theatre at Home(26-Jun-2024ロンドン公演)。
Diana役はアナ雪のエルサ役の歌唱力が記憶に新しいCassie Levy、後の配役も歌唱・演技ともに満点というか、毎度感じる英国の役者層の厚み。
ゲイブとナタリーがちゃんと少年少女に見えるキャスティングといい、夫ダンの少しモラみのあるキャラクターといい、役を生きていてくれて、大変楽しく見終わった。
ダイアナとナタリーの相似形
双極性障害を抱える主人公のダイアナの治療の変遷を経て、自己受容できるまでを描いている。
ストーリーは多様な解釈ができるように複層的に描かれている。
例えば、娘のナタリーは献身的な恋人を得つつ、母や自身の特性にも悩んでいる。ダイアナの娘として存在しつつ、ダイアナ自身の少女性・内なる魂のようにも解釈できる。
イマジナリー息子のゲイブも多重の意味づけをされている。
途中トート閣下のごとくダイアナを死へ誘ったり、孤独になった父に舞い降りる天使(ガブリエル)のようにも振る舞うなど、妄想の産物だけではなく、様々な象徴として描かれていた。
アダルトチルドレン。母娘の呪い(背景の家父長性)。人生の理不尽への向き合い方。社会的な要請と自身の生き方が拮抗する苦しみ。
様々なことを重ね合わせながら見られるようになっており、それがこの作品の魅力なのだと思う。
ポップで軽快な音楽
ハードなシーンが多いが、トム・キットの音楽は軽快でポップで、絶望的な話との絶妙なバランスが取れるようになっている。
精神的にあまり調子が良いとは言えない時期にこの作品を見たのだが、この音楽のおかげでどこか救いがあり、最後まで見る事ができた。
ゲイブのテーマソング「I’m alive」はサントラでアーロン・トヴェイト版をよく聞いていた。
放蕩息子がそれでも生きてるぜ〜いえ〜!!みたいな調子の良い歌かと思っていたので、え、地獄すぎん・・・?
死んでいるのにあんなに生き生きアライブ歌うん・・・? すごくホラーな曲でした。怖・・・。
「ナタリー!」からの一連のシーン
特に、「I’m alive」リプライズから、ダイアナが夫でもイマジナリー息子でもなく娘のナタリーの名前を呼んで、医者と対峙していくシーン、その後の母娘の会話はずっとボロボロ泣いてしまった。
え、ていうか何度見ても、泣いてしまうんだが・・・(配信の特権、何度も再生。
ナタリーにとっては心の底から願っていた母に必要とされることだし、ダイアナは精神を病んだ自身を受け入れ生きていくと誓うシーンだ。
途中の電気治療シーンにもある通り、人としての歪みを取り去るともはやそれはその人ではなくなるということなのだろうと思う。
不完全でも生きていくということ
子供が4歳になり日々困難を感じている。
感情をそのまま受け入れて寄り添うこと、出来不出来ではなく気持ちや取組そのものに価値を置くこと、見返りを期待せず自身の時間、手間やお金を提供すること、穏やかさを貫くこと、一度設定した基準はブラさないこと、そして何より自他の線を引いてお互いに心地良い関係を模索し尊重すること。
子も未熟・自身もあまりに歪んでいて、全てがあまりに難しくて、投げ出してしまいそうな時がある。
また、そう感じる原因に想いを馳せると、悲しくなる時も多い。寄り添ってもらったことがなければ、寄り添い方なんて分からないのである。
私自身、全てを覆い隠すのではなくて、自分なりにできる形で一緒に過ごしていくしか無いのだなぁとしみじみ感じている時だった。
そんな中での普通はあまりに遠いので、next to normalでいい、もしかしたら自分の輝かしい時間はもう過ぎ去ってしまって、出来ないかもしれないけど少なくとも挑戦できる、という言葉は優しく沁みたのだった。
もし例え自分で許せる姿でなくても、このままの自分でも世に生きていていいと少しでも思えるなら、それはラストシーンの歌詞の通り光になるのだろう。
Cassie Levy Diana
Jamie Parker Dan
Jack Wolfe Gabe
Eleanor Worthington-Cox Natalie
Trevor Dion Nicholas Dr. Madden / Dr. Fine
Jack Ofrecio Henry
Crew
Tom Kitt music
Brian Yorkey book and lyrics
Michael Longhurst director
Chloe Lamford set and costume designer
Ann Yee movement choreography and additional direction
Lee Curran lighting designer
Tony Gayle sound designer
Tal Rosner video designer
Anna Cooper CDG casting
Nick Barstow musical director


